TNK vol.5 -メール編-
さかのぼる事1ヶ月前、まだ涼しさの残る6月のとある日、
いつものように仕事を終えて自宅に帰り、ベランダの窓を開けると、この日は特別心地よい夜風が部屋に吹きこんできて、そんな夜風に乗って外から風鈴の音が聞こえてきました。
きっと隣の住人がベランダに吊るし始めたのかなと思ったのと同時に、もうそんな季節かとしみじみ。
あの無条件に人の心を躍らせ、もてあそぶ『夏』が今年もやってきたんだなと。
そんな心地よい夜風と風鈴の音という、日本らしい初夏の風情を目の当たりにした以上、ベランダで缶ビール片手に一杯やるのが粋だと考えた僕が、冷蔵庫に手を伸ばした瞬間、
風鈴の音とはまるで正反対の無機質な携帯の電子音が部屋に鳴り響きました。
携帯を手に取り画面を見てみると、受信メールが一件、差出人の名は田中君。
※田中君=AKB48とJohnMayerをこよなく愛すギターリストで職場の後輩。通称TNK。最近AKB48からKARAファンへと華麗なる転身を遂げた生粋のミーハー。
『TNK vol.4 -TANA-』http://d.hatena.ne.jp/yamadagou/20110401
普段田中君から届くメールは、「今KARAが分裂騒動で大変な事になっている。」や「KARAの為に今自分が出来る事はないのか。」など、基本的に僕の返信する余地がない一方的な内容ばかりで、
この時も僕は田中君の名前が映る画面を見ながら、
【すぐに携帯を閉じる】か、
【一応メールの内容だけ確認してみる】か、
いずれにせよ【返信する】は除いた2つの選択肢で悩みました。
しかし恐る恐る開いたメールの内容は予想外とゆうか、いつもと様子が違うものでした。
田「山田君、次のライブいつでしたっけ?」
田中君からの珍しくマトモなメールに、僕は少し戸惑いながらもライブ日程を書いて、
僕「来てくれるん?」
するとすぐに田中君から返信が。
田「いつもせっかく誘ってもらってるのに断ってばっかりじゃ、この田中の株が下がっちゃいますからね!次のライブは何があろうと絶対遊びに行かせてもらいますよ!へへっ!」
僕はそんな田中君の気持ちが素直に嬉しくて、田中君の株は既に紙切れ同然だとゆう事実を伝えれずにいると、僕が返信する前に間髪入れずにまた田中君からメールが。
田「てゆうか何かいい仕事ないですかね?」
彼の伝家の宝刀『会話の流れ無視』によって、またたく間に話題は仕事探しに。
というのも田中君は今年始め、諸事情により惜しまれつつも職場を去ってしまい、現在は失業保険を受け取りながら仕事探しに明け暮れる毎日。
田中君もバンドをやってる事もあり、ある程度シフトなどの融通が利く仕事を探すとなると、なかなか見つからない様子。
同じバンドマンとして田中君の気持ちが痛いほどわかる僕は、
「夜にバンド練習があるなら昼間のこうゆう仕事はどうか。」とか、「知り合いが働いてる職場は割と融通利くと思うし1度聞いてみよか?」など、先輩らしく親身に相談にのったメールを返しました。
きっと今頃僕が送ったメールを読んで先輩の優しさに触れた田中君は、溢れ出る涙が邪魔をして最後までメールを読めてないんじゃないか。
そんな心配をしていると、またすぐに田中君から返信が。
田「てゆうか最近の少女時代人気ハンパないっすね。」
いつも以上に伝家の宝刀が冴え渡る田中君。
会話のキャッチボールを予測不可能なナックルボールで投げ返してしまうかのようなコミュニケーション能力の低さを見せつけ、この日2度目となる『会話の流れ無視』
しかし僕も田中君とはかれこれ3年の付き合い。
これくらいの事では今さら驚きません。
それより僕は田中君のメールを読んで瞬時に察しました。
田中君が持ち前のミーハーっぷりをいかんなく発揮して既にKARAに飽きて少女時代ファンへと、いや、田中時代へと華麗なる転身を遂げていると。
そしてKARAの時同様また長々と僕に、今度は少女時代について一方的に熱く語るつもりだなと。
しかし、この時田中君は自身の誤算に気付いてませんでした。
それは、
何を隠そう僕が既に少女時代の虜であるとゆうこと。
おそらく少女時代に関しては田中君を上回る知識があると自負する僕、いや、山田時代。
しかし、それを田中君に普通に自慢するだけでは面白くないと考え、
まずは田中君のお手並み拝見とばかりに、僕は少女時代に関して全くの無知という設定で返信することに。
そして田中君が少女時代について熱く語り出し、まんまと調子にのり始めた瞬間、
僕が田中君の更に上をいく珠玉のマニアック知識を叩きつけ、先輩としての威厳を見せつけてやろうという作戦に出ました。
僕「少女時代?いやぁ全然知らんわ。田中君好きなん?」
田「いや僕はKARA一筋っす。」
とんだ誤算でした。
しかし、ここで引き下がっては田中君にKARAの魅力を一方的に延々語られるとゆう、いつものパターンになりかねないと思った僕は、
先手を打つ意味でも、急いで少女時代について熱く語ったメールを打とうとした矢先、
またもや間髪入れずに田中君からメールが。
田「山田君、僕自身うすうす気付いてはいたんですけど、これはもう恋です。恋のKARA騒ぎです。」
スベる事に対する恐怖を一切感じさせず果敢にスベってくる田中君。
何故彼はこのメールを送ろうと思えたのか。
送信する前に一度考え直す事は出来なかったのか。
まさか一度考え直した上で「イケる!面白い!」と判断して送信したのであれば、もはやそれは悲劇でしかなく、
そんな哀れな田中君を先輩として温かく見守る意味でも、僕はこう返信しました。
僕「田中君のギャグセンス、嫌いじゃないで。」
決して面白いとは言えずとも、先輩として田中君を傷つけないようにとオブラートで優しく包んで仕上げた言葉「嫌いじゃない」
そんな僕の先輩としての気遣い、優しさにふれ、さすがの田中君も今回ばかりは何か心に感じるモノがあるんじゃないか。
そんな事を思い返事を待ちましたが、
再び僕の携帯が鳴り響く事は最後までなかったです。
この日3度目となる『会話の流れ無視』を鮮やかに決められ、
部屋に吹きこむ優しい風鈴の音と夜風がやけに心にしみた、
そんな、夏の始まりを告げる夜になりました。
ちなみに、
ライブ当日、
田中君の姿はどこにも無かったです。
=live information=
先週末は名古屋新栄Vioに遊びに来てくれた皆さんありがとうございました。
jizue初のUstream生放送もたくさんの方が見てくれていたみたいで本当に嬉しかったです。
jizueの前のthe act we act、後のegoistic4leaves、mouse on the keys、kowloonと立て続けに最高のライブを見せられ飲み過ぎた結果、結局翌朝太陽が上って明るくなり始める中、機材車でなでしこJAPANのW杯優勝を最後まで見届けてから名古屋を後にする事になりました。
呼んでくれたegoistic4leavesの礼一さん、改めてありがとうございました!
そして残すところ夏のライブは8月のこの1本のみです。
jizueが愛するイベンター・メラさんに呼んでもらい、1年ぶりの石川!
北陸の皆さん、ぜひぜひ乾杯しに遊びに来てください!
2011.08.20(土)@石川 小松silk beat
“Kyoumei″
=出演 =
jizue and more
OPEN ? / START ?
ADV ? / DOOR ?