年下女子狩り

もうだいぶ昔の話になるんですが、今から12年前の春、僕は地元滋賀の高校に入学し、晴れて高校生になりました。

周りを見渡せば、ルーズなソックスを穿きこなす女子高生達で溢れ、僕は高校こそが「この世の楽園」だと確信し、自分を生んでくれた両親に深く感謝したのを今でもハッキリと覚えています。


そんな高校生活にも徐々に慣れ始めてきた高1の5月頃、

ハイスクールライフという名の元に、心身共に大人び始めてきた同級生の1年女子達が、しきりにある言葉を唱え始めました。


女「ヤッパリオトコハクルマモッテナキャダメダヨネ」


毎日学校が終わったら真っ直ぐ家に帰って、溜まっていた宿題と性欲を片付けるだけの平凡な高校生だった当時の僕には、この言葉が一体何を意味するのか見当もつかず、気にもかけていませんでした。


しかし、それからしばらくして事件は起こりました。

同級生の女子達に次々と彼氏が出来始めたのです。

そして、その彼氏というのが、例の「クルマ」を持ってる年上の男子達でした。


チャリの立ちこぎがこの世の最速だと信じて疑わなかった当時の僕を含めた1年男子の前に突如現れた、クルマという最先端の優れた文化を持った『先輩』

放課後の校門で、迎えにきた先輩の車の助手席に乗り込む同級生の女子を見た時は、あまりの衝撃に言葉がでませんでした。


お金、車、ありとあらゆる権力を掲げて、1年男子にとって宝ともいえる存在の1年女子達を次々と奪っていく先輩達。

この先輩達の略奪によって、1年男子は多くの1年女子を失うことになり、「この世の楽園」は瞬く間に荒れ果て、ハイスクールライフに暗雲が立ちこめ始めました。


これが先輩男子達によって引き起こされた事件、俗にいう【年下女子狩り】

男子なら誰もが経験した事のある事件というか悪夢です。




そして、

あれから12年という月日が流れ、当時の先輩達も今ではすっかり落ち着いた大人になり、家庭を持たれてる方も多く、年下女子狩りに興じる恐ろしい先輩はいなくなりました。


少なくとも、そう思ってました。


しかし当時の年下女子狩りの残党である先輩が1人、今も影を潜めて水面下で活動していたのです。

その先輩は現在大手IT企業に勤め、社会での地位を確立しながらも、その一方で年下女子狩りを黙々と遂行していました。


そして当時の年下女子狩りの被害者である僕達が、それに気付いた時には既に遅かったです。

同級生の女子がまた1人、先輩に奪われてしまったんです。

あの時の悪夢が再び僕の頭をよぎりました。



しかし、話によると二人は物凄く幸せだそうで。

しかも既に入籍してグアムで挙式をあげたそうで。

さらには近々日本で二次会も開くそうで。



そんなわけで、先日、


その2人の結婚式二次会に意気揚々と行ってきました。

新郎のツヨピーは同級生の友達の兄ということもあり、小さい頃から御世話になりまくってる大好きな先輩。

新婦のミッチャンは高校の同級生で、当時から美人で有名だったアイドル的存在。


そんな2人の二次会ってこともあって、参加したメンバーも久しぶりに会う先輩や友達ばかりで、まるで同窓会状態。

パーティーも終始アットホームな雰囲気に包まれ、幸せな空気に満ち溢れてました。


途中の余興で『新婦のカレー当てクイズ』という、

新婦、新婦の母、新郎の母が作った3つのカレーを、新郎が目隠しで食べて新婦のカレーを当てるというゲームがあったんですが、

新郎のツヨピーは見事にあっさり正解していました。


そんな2人の仲睦まじさを見て、同席していたU・Y君こと梅村泰彦君も脱ぎかけていた服をそっと着直し、割り箸をテーブルに戻していました。


ということで、長々と書いてしまいましたが、結局何が言いたかったかというと、この一言に尽きます。



「ツヨピー、ミッチャン本当におめでとう!お幸せに!」