短針11、長針6

リリースアフターパーティーの朝、

目を覚ますと、部屋には眩しいばかりの光が射し込んでいた。

ブラインドカーテンの隙間から石原裕次郎ばりに外を覗くと、まるでお天道様までもが今日のパーティーを祝福してくれているかのような清々しい天気。

ポカポカした陽気に誘われた僕は、集合時間である10時15分までの時間、少し近所でも散歩しようかと身支度を始めながら、ふと時計の方に目を向ける。

その時、時計は短針が11、長針が6を指していた。




俗にいう11時30分。




今日の集合時間は、




10時15分。




これは紛れもない事実。




その事を踏まえて、もう一度時計を見つめる。




しかし、




やはり時計は短針が11、長針が6を指していた。





鮮やかなまでの、










寝坊。





震える手を抑えながら携帯を手に持ち、待ち合わせていた井上氏に謝罪の電話をした後、急いでユーストンへ。

ユーストンに着いた時、ユーストンの前の道で粉川氏にばったり会った僕は、人目もはばからず土下座していたのは言うまでもありません。


そして何より僕がいなかった事でイベントの進行に支障をきたし、出演者もスタッフも動揺を隠せないでいる事は容易に想像でき、

申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、ユーストンに入った僕の目の前に広がった光景は、


余裕の表情を浮かべながらコーヒー片手に談笑するみんな。


「え、遅刻してたの?」と僕が遅刻したことすら知らなかったみんな。



イベントは一切、




滞ってなかったです。



その時、僕の頭の中を漫画「ワンピース」Dr.ヒルククの言葉がよぎりました。

「人が死ぬ時は、銃に撃たれて倒れた時ではない。不治の病に冒された時でもない。人が死ぬ時は人に忘れられた時だ。」


動揺を隠せないのは僕の方でした。

今回の遅刻事件は、薄々気付いてた「山田不要説」を決定付けるには充分だったようです。



そんな感じで始まった「Bookshelf」リリースアフターパーティーですが、

平日の早い時間にも関わらずオープンと同時に遊びに来てくれたお客さんもいて、その中で大好きなアーティストのライブを贅沢に堪能出来て幸せな1日になりました。

最高のライブを見せてくれたみんな!

長い時間にも関わらず嫌な顔一つせず力を貸してくれたユーストンスタッフのみんな!

遊びに来てくれた皆さん!

本当にありがとうございました!